発達障害的な問題は栄養で改善する

からだ, 分子栄養学, 発達障害

発達障害という言葉は最近ではめずらしくなくなったのかもしれません。実は私もその一人で、もう15年ほど前にアスペルガー症候群と診断されています。

アスペルガー症候群は今では「自閉スペクトラム症」と呼ばれていますが、私の診断のきっかけは、新聞でアスペルガー症候群の当事者についての記事を読んだことでした。自ら確信して、診断を受けに行ったんです。知能検査、MRI、脳波検査の結果、「診断に全然迷いませんでした」と言われるほど、典型的な特徴がみられたそうです(詳しい診断経緯に興味のある方はこちらを)。

でも、診断当時も現在も、仕事をしていて、社会に適応できていないわけではないし(「過剰適応」と言われました)、薬物療法が必要となるような精神的な問題を抱えているわけでもないので、医師によっては診断は下されないでしょう。実際、この話を周囲にしても「え~、そんなふうには見えない」と言われるのが通常ですが、実のところ、発達障害者の実物(?)を見たことのある人はほとんどいないと思います(笑)。だいたい、見た目からはわからないものですし、みんな、イメージで言っているだけなのです。

私の場合、知能検査で、ある項目だけ有意差があるほど点が低かったのですが、そうした能力の凸凹の大きさは発達障害特有のものです。「え~、能力のばらつきなんて誰でもあるじゃない」と言う人がいますが、発達障害がない場合は、だいたいどの項目も平均的だそうです。もちろん、発達障害がある場合、どこに凸凹があるかは人によってまったく異なるので、困っていることは発達障害者ならみんな同じ、というわけではありません。

でも、おそらく発達障害当事者が共通して困っているのが「体力のなさ」です。私も若い頃からいろんな健康法を試してきました。そして、4年ほど前に発達障害と栄養の関連性を知って試してから、「どうしてこんなこと、今までの人生で誰も教えてくれなかったの?」というほど元気になったのです。40代後半にして、今人生でいちばん体力があります。

最近出版された『発達障害は食事でよくなる』という本を読んだところ、発達障害者には共通するトラブルがあると書かれていました。低血糖症や腸の炎症などです。私も実際、低血糖症がありますし、腸の問題もあります。なので、血糖値が急激に上がらないような食べ方をする必要がありますし、できるだけ腸の状態を悪化させるグルテンやカゼインを避けるため、大好きだったパン(酵母から起こして作ってたんだけれど)などの小麦製品や乳製品も避けています。

その他に、この本で興味深いのが、自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害の診断名ではなく、各症状と特定の栄養素の不足を結び付けているところです。 今の状態を評価するための「発達障害の特性別栄養チャート」というものがあって、これは、①睡眠、②衝動性・キレる、③不安・ネガティブ、④不注意、⑤こだわり・過敏さ、⑥便通トラブル、⑦チック、⑧運動神経、⑨多動、⑩人間関係・コミュニケーションを0~5点で評価するものです。   たとえば、
「①睡眠、②衝動性・キレる」が高いと「低血糖症タイプ」

「③不安・ネガティブ、④不注意、⑤こだわり・過敏さ」が高いと
「ビタミンB群不足タイプ」

「⑥便通トラブル」が高いと「消化管不良タイプ」

「⑦チック」が高いと「ナイアシン不足タイプ」

「⑧運動神経、⑨多動」が高いと「鉄不足タイプ」

「⑨多動、⑩人間関係・コミュニケーション」が高いと「DHA不足タイプ」  

そう考えると、最近よく問題にされる、過剰診断などは実はそれほど問題ではなくて(問題なのは診断をつけた後にフォローがないこと)、発達障害的な問題があるのであれば、栄養素の過不足を疑った方がいいということなんじゃないでしょうか。

実際に発達障害であろうがなかろうが、敏感すぎるHSPであろうが、はたまた、生きづらい新人類であろうが、上記のような症状があって困っているのなら、栄養素の過不足に気をつけるのが最優先かと思います。特に、糖質の過剰摂取はインスリンが過剰分泌されて低血糖につながるので要注意ですよ。スピリチュアルに頼るのは、その後が正解かと。

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