ハーブは安全?

からだ, ハーブ

先日、メディカルハーブの学術フォーラムがあったので、遊びを兼ねて関西に行ってきました。去年東京でもやったセミナーなのだけれど、都合悪くて参加できなかったので、この機会に。

内容はだいぶ高度でしたが、勉強している分子栄養学にも通ずるところがあったので、とても勉強になりました。

私が特に興味があったのは、食品・ハーブと医薬品の相互作用。相互作用についてはメディカルハーブの講座でも多少習うのですが、今回のセミナーではかなり細かい資料が配られました。

ハーブというと、自然のものだから安全だと思っている人も多いと思います。私もまったく知識がなかった頃はそう考えていましたが、勉強を進めるにつれて、結局は化学物質なのだから、薬にもなれば毒にもなるというのがよくわかってきました。実際、自然の植物から単離された物質が基となっている薬剤も多いのですから。アスピリンは合成薬ですが、基になったサリチル酸がセイヨウナツユキソウから単離されたことはよく知られています。

そういうわけで、薬に飲み合わせがあるように、ハーブと医薬品にも気をつけなければならない飲み合わせがあります。よく知られているところでは、グレープフルーツジュースは小腸粘膜の薬物代謝酵素の働きを阻害するため、ニフェジピンなどの降圧薬の作用が強く出すぎるとか、セントジョンズワートは逆に、肝臓の薬物代謝酵素の働きを高めるので一部の薬剤の効果が弱くなってしまうとか。セントジョンズワートは薬物を排出するP-糖タンパク質も誘導します

このセントジョーンズワートとの相互作用がある薬剤というのは、授業では6種類(インジナビル、シクロスポリン、ワルファリン、ジゴキシン、テオフィリン、経口避妊薬)と習ったんですが、今回の講座の資料には、こんなにあるの、ってくらい多くの薬剤名が載っていました。ちょっと鬱っぽいけど、薬を飲むほどではないから、セントジョーンズワートならハーブだから安心で手軽、と思いそうですが、何らかの薬を服用している場合は注意が必要かもしれません。気になる方は、データベースで調べてみるといでしょう。

今回初めて聞いた話でおやっと思ったのは、ローズヒップにはサンチンオキシダーゼ阻害による尿酸産生抑制作用があるということでした。つまりは、痛風にいいのですね。私は尿酸値がだいぶ低いのですが、ローズヒップをやたらと飲んでいる(ビタミンC目的)せいもあるのでしょうかね。尿酸には抗酸化作用もあるそうなので、あまり低いのもよくないのだと思いますが。でも、ローズヒップには抗酸化作用があるので相殺されるかな?これについての論文の抄録がありました(このPDFのいちばん最後)。

あと、面白かったのが、遺伝子多型とハーブ-医薬品相互作用。遺伝子多型というのは、人口の1%以上にみられる遺伝子の変異のことです。分子栄養学を勉強していると代謝酵素に関連する遺伝子多型の話が出てくるので知ってはいましたが、ハーブに関しても研究が進んでいるんですね。セミナーではイチョウ葉とオメプラゾールというプロトンポンプ阻害薬との相互作用について少しお話がありました(論文の抄録はこちら)。遺伝子多型があるかないかで、効果が全然違ってきちゃうそうです。

がんの治療では遺伝子検査で調べて薬剤を選ぶということも始まっていますが、ほかの分野でも早く導入されるといいなと思います。特に、不足しやすい栄養素がわかるといいですよね。生きているうちに一度は(データは変わらないから一度やればいいので)受けてみたいなぁと思う今日この頃です。

関西ではもちろんしっかり遊んでも来ました(^_^)v

大阪と言えば、私はこれ