運命と自由意思のあいだ

ホリスティック

何年も前に古武術研究者の甲野善紀さんとお弟子さんのワークショップに行ったときに、質疑応答で「なぜ古武術を始めたのですか」という質問に対し、甲野さんが「人生がすべて運命で決まっているとしたら自由がない。でもすべて自由意思だと思うとそれも怖い。その中間点を探すために始めた」というようなことを言っていました。  
それを聞いて「カッコいい~」と思ったのですが、今の私は、僭越ながら私も同じようなことを求めているのかもしれません。  


私はかつて、長いあいだヴィパッサナー瞑想に真剣に取り組んでいて、その教えがすべてだった時期がありました。その頃には、それ以前に興味のあったタロットや占星術はすべてやめてしまいました。そんなものに頼るのはいけないと思っていたのです。  


確かに、真剣に瞑想することで、多少なりとも善い人間になり、忍耐力もかなりつき、物事に反応することが少なくなることで、トラブルも避けられて人生は平和になりました。  


でも、自分から人生をどう変えていったらよいのかということはわからず、ただ受身的に人生を生きていたように思います。つらいことがあっても、ただひたすら耐えるだけ。忍耐力は増しますが、下手をすると単なる我慢大会です。  


それが、数年前に発達障害のある人(私は十数年前に診断済み)は機能性低血糖症の問題を抱えやすく、その対処法として糖質制限するとよいということを知って試してみたところ、驚くほど楽になりました。それまでのつらさや大変さの大半は、低血糖症や栄養不足によるだるさや疲れやすさが原因だったようです。  


瞑想法自体はすばらしい(今でも自分なりに続けています)のですが、そこで奨められていた菜食が低血糖症を悪化させていたのですから皮肉なものです。菜食ではどうしても炭水化物がほとんどになり、いくら大豆製品を摂ってもタンパク質不足になりやすく、その他の栄養素も不足します。ひたすら瞑想しているような生活ならそれでもいいかもしれませんが、栄養不良では日常生活がつらくて仕方ないのは当たり前です。低血糖症によるつらさを乗り越えられたのも瞑想のおかげではあるのですが、今思えば、自分の行為で自分を苦しめながら、そのつらさを長時間を瞑想に費やして乗り越えるという、わけのわからないことをやっていたのです。そして、指導者の人たちは、もちろん発達障害についても機能性低血糖症についても何も知らないので(私自身が知らなかったほどですから)、菜食を奨めてきます。ある意味、苦行でした(苦笑)。  


そうして菜食をやめ、身体の状態が大きく改善したら、自ら人生を切り開いていきたいという意欲も出てきました。それで改めてタロットや占星術を学び始めたのです。  
それまでいろいろなことを試してきて感じたのは次のようなことです。たとえば、台車を引きながら道を歩いているとします。台車に載っているものが重ければなかなか前に進みません。後ろから押してもらえばだいぶ楽になりますが、それでも積み荷が重ければ軽々とは進みません。楽に前に進んだとしても、進む方向を誤れば、結局ウロウロしてしまいます。  


そもそも、本人に道を歩く意思がなければ進みませんが、たとえば道が下り坂で後ろから押してもらえば進むかもしれません。でも道はいつでも下り坂ではないので、上り坂になれば、自分では動かずに押してもらうだけで進もうと思っても難しい。坂の上り下りというのはたとえれば運気、後ろから押してくれる力というのは他力で、ヒーリングや、フラワーエッセンスもこれに当たるかもしれません。本人に進む力があって荷が軽ければ、他力というのはそれを大きく助けてくれます。  


私の場合は、何よりも台車に載っている荷が重かった。瞑想をして自力で前に進もうとする気持ちはうんと強かったのに、なかなか進まなかった。フラワーエッセンスも大きな助けになったけれど、それだけでは厳しかった。スピリチュアル系の人に言わせれば、それはカルマだよって話になるのかもしれないけれど、私の場合、載っている荷というのは、てんこ盛りの糖質でした(笑)。糖質制限をして栄養状態を改善したら、頭がまともに働くようになって、収入も倍近くに増えたのです。停滞していた人生もスルスルと動き出しました。  


人間、楽をしたがるものです。「これさえやっていればすべて上手くいく」式のものが大好きです。でも実際にはそんなことはめったになくて、いろんな角度から調整することが大事です。  


そんなわけで、Naadのホリスティックカウンセリングでは栄養状態や生活習慣の改善も含めて、全体的な視点からアドバイスをします。無理に糖質制限や栄養療法を押し付けるのではなく、できるだけその人の体質や経済状態に合わせて実践できるように一緒に考えていきたいと思います。  


タロットや占星術をやっていて、なんで栄養?と不思議に思うかもしれませんが、オーソモレキュラー療法を勉強しているのもそういう経験からです。荷を軽くして栄養という潤滑油を差すことで、ホロスコープという地図を見ながらタロットが示してくれる方向へと軽々と進んでいけるのです。もちろん、ご希望ならフラワーエッセンスも後押ししてくれますよ。