土星と天王星のスクエア、そしてカイロン

占星術, 発達障害

クリスマス・イブですね。外に出てイルミネーションを楽しんでいる人も多いかと思います。そして今日は、占星術的には、今年3回目の土星と天王星のぴったりのスクエア。このスクエアは、今年最も注目されたアスペクトです。90度という緊張のアスペクトなので、苦しみも伴いますが、じっと耐えてやり過ごすか、大きな成長の糧とするかは人それぞれ。

面白いなと思ったのは、このスクエアのあいだにカイロン(キロン)があること。11度台のスクエアに対して、カイロンは牡羊座の8度台にあるので、少しオーブがあるかもしれませんが、土星に対しては約60度のセクスタイル、天王星に対しては約30度のセミセクスタイルという、いい位置にあります。

カイロンは土星と天王星のあいだに軌道がある小惑星です。肉眼で見える限界の土星と、目に見えない天王星をつなぐとも言われています。そのカイロンが、土星と天王星のスクエアが形成されているあいだに、それぞれに対していい位置にあるというのは、土星的なものと天王星的なものの葛藤を緩和する鍵になっているような気もするのです。

土星が表す構造社会に対して、革新をもたらそうとする天王星。古いやり方が壊れつつありながらも、すんなりとは新しい方向へは移っていけないという状況が去年から続いています。

カイロンは古傷やその癒しを表すと言われます。その古傷というのは、ときには先祖代々受け継がれてきたものであることもあるそうです。そう考えると、これまでの古いやり方で傷ついてきた人たちや起こった問題などをそのまま放置して新しい時代に進んではいけないということではないでしょうか。生命の進化まで考えれば、ほかの動物や植物も先祖と言えるわけで、そうしたものが癒されるような形で未来に進んで行くことが鍵となるのかもしれません。

ギリシャ神話でカイロンはケンタウロス族の王とされています。ケンタウロスたちは、ほとんどが大酒のみで暴力的だったのに対して、カイロンは洞窟に籠って瞑想することを好むような人物でした。あるとき、ヘラクレスがケンタウロスたちと宴会をしていたときのこと。酔っ払ってケンカが始まり、ヘラクレスが毒矢でケンタウロスたちを射始めたのです。

外が騒がしいのを不思議に思って瞑想中のカイロンが洞窟から出たところ、ヘラクレスの矢がカイロンのかかと(太腿とされている場合もある)に当たってしまいました。医術に精通していたカイロンも自身の傷は治せず、かといって、不死を与えられているので死ぬこともできません。

最終的には、天界の火を盗んで人類に与えたために岩に縛りつけられていたプロメテウスが解放されて地上に戻ることと引き換えに、カイロンはハデスが支配する冥界へと下って行ったのでした。

この神話はとても大切なことを表しているように思います。傷ついたカイロンが癒されるためには、冥界に下るしかなかった。死と再生の星、冥王星が支配する世界です。それと引き換えに、プロメテウスが日の目を見るわけです。火を与えることで人類の生活に革命をもたらしたプロメテウスは、ウラノスよりも天王星的だという見方もあるようです。やはり、普段は目にしたくないような薄暗い部分に足を踏み入れ、内なる傷を癒して生まれ変わらなければ、新しいものは生まれないということでしょうか。

今年に入って、不動星座の前半に重要な天体や感受点がある人からのご相談が多かったように思います。出方は人によってさまざまだと思いますけど、やっぱり、仕事がらみの悩みが多く、パワハラだとか、会社の古い体質に嫌気がさしたとか。

個人的には、この時期、出生図の獅子座にある太陽・火星のコンジャンクションが今回の土星・天王星のスクエアとオーブ1度以内でTスクエアを形成しています。おまけに、少しオーブはありますが、出生図のMCも加わると、ゆるいグランドクロスとなるのです(^^;)。まあ、確かに私も今年は仕事がらみで浮き沈みが激しかったですね。

けれども私、ちょうどカイロンリターンの時期にあるのです。ということで、出生図の太陽とトランジットの土星のオポジションをカイロンが調停する形になっています。

それをここ最近、感じていました。このところ、どうにもやる気も出ず、行動が遅くなって、いろんなことにすごく時間がかかったり、時間に間に合わなかったりしていたんです。

それでふと思い出したのは、小さい頃にそういう子だったなということ。つまり、トロい子だったんです。最近の私しか知らない人からすれば、そういうイメージではないでしょう。自分でも忘れていたほどです(笑)。出生図のカイロンは牡羊座の3ハウスにありますが、引っ込み思案で上手く言葉が出ず、学校ではいてもいなくても気づかれないような子どもでした。30代半ばで発達障害の診断を受けていますが、今になって子どもの頃を振り返ると、典型的な受動型の自閉症スペクトラムでしたね。ただ、学校の成績はよく、受動型なので誘われるままに同級生とは遊んでいたため、問題があるとは思われず、末っ子だからおっとりしているんだろうと思われていたみたいです。内面ではとても大変だったのですが、それがなぜかはわからず、謎が解けたのは診断を受けてからでした。

そんなわけで、それは長いことコンプレックスだったし、克服すべく努力してきたのですが、土星の影響を受けてなのか、自分の負の部分が再浮上してきたんです。最初は物事をすんなりできない自分にイライラしていましたが、調停をしているカイロンの意味が分かり始めて、今はゆっくり時間をかけることを楽しむようにしています。そう、社会に適用しようとがんばってきた半面、失ったものもたくさんあったのです。ボーっと時間を過ごすことで得る空想力や、それから生まれる創造力とか。

カイロンについては、カイロンリターンの時期を存分に活かそうと、いろいろ勉強中です。とても奥深い。また改めて書こうと思います。