あなたはあなたが食べたものでできている?

からだ, 分子栄養学

英語に「You are what you eat」という言葉があります。直訳すると「あなたはあなたが食べたものでできている」という意味ですが、何を食べるかによって体や健康・精神状態は違ってくるから、食べるものには気をつけようということです。でも実は、これは必ずしも正しくありません。

健康に気をつけようとすると、食物やサプリなど、何かを摂ることに注意が向きがちですが、悪いものを摂らないということも大切だとこれまでにも書いてきました。足し算だけではなく引き算も重要。過剰な糖分や添加物、小麦粉のグルテンや乳製品のカゼインは腸内環境を悪化させます。カフェインを摂りすぎると副腎皮質からコルチゾールが過剰に分泌され、腸粘膜が分解されるのでリーキーガットになりやすくなります。

そう、胃や腸の状態が悪ければ、食べたものが上手く吸収されないのです。ですから、「あなたはあなたが消化・吸収できたものでできている」というのが本当のところ。

まずは唾液や胃酸がしっかりと出ることが大切。ストレスが多くて、交感神経優位になっていれば、胃酸は出づらくなります。カフェインの摂りすぎも交感神経をオンにします。

酸味のあるものを摂ると胃酸が出やすくなるので、梅干しや酢の物などを食事に加えるのがおススメ。食前にリンゴ酢をちょっと飲むのもいいですよ。

それでも消化力が上がらず、肉を食べるともたれたり下痢したりするときには、消化酵素ベタイン塩酸塩のサプリを使いましょう。消化酵素はタンパク質でできているので、タンパク質がきちんと吸収されないと消化酵素が上手く作られず、タンパク質が消化できなくなるという悪循環に陥りがちです。そういう場合は、ある程度消化できるようになるまで、サプリの力を借りた方が早いです。

ピロリ菌がいないことも重要。ピロリ菌の除去は、抗菌剤だけではなく、自然療法ではマスティックガム(マスティカという植物の樹脂)のサプリを使う方法もあります。

脂質の消化には胆汁酸がしっかりと出ていることも必要です。胆汁酸は殺菌作用もあるので、腸内で細菌を異常繁殖させないためにも大切。脂質が吸収できないと、ビタミンA、D、E、Kといった脂溶性ビタミンも吸収されにくくなります。ゴーヤなどの苦味の強い食物のほか、杜仲茶やタンポポ茶も胆汁の分泌を促してくれます。あんまり出にくい場合は、ウルソという市販薬を使うといいでしょう。

そのほかにも、食物の代謝にはビタミン(特にB群)やミネラルも必要。要は、バランス良く食べることが大切ってことですよね。

そして、吸収されたとしても、エネルギーの消費量が多ければ、身になりません。ストレス過多でコルチゾールが過剰に分泌されれば、コルチゾールには異化作用があるので、筋肉をどんどん分解してしまいます。食事の量が少なかったり、食間が長くても筋肉は分解されてしまうので、食が細くて1回にたくさん食べられない人は、補食を取ることも必要です。

メンタル状態も食べ物に左右されるんですが、食べ物が身になるかどうかはメンタルにも左右されるのです。こころとからだ、どちらのケアも同時にやることが大切ですね。