人は話をしてみるまで何を考えているかはわからない

こころ

先日、池見陽先生の月1回のフォーカシングセミナーの3回目がありました。今回はリスニングがテーマ。「傾聴」です。休憩をはさんで10時から16時半までと、長時間のセミナーなので、理論的なことから実践練習までたっぷり勉強。オンラインでのセミナーですが、少人数のグループで聴き手や話し手になって練習します。

話し手をやってみると、相手にひたすら聴いてもらえると、自分でも思ってもいなかったことが口から出ることもありました。先生が「人が本当は何を考えているのかは、話してみないとわからない」というようなことをおっしゃっていたのですが、自分自身のことであっても、言葉にして話してみると、実はこんなことを自分は考えていたのか、と意外に思うことがあります。話してみて初めて気づく、という。

ただ傾聴するというのも、なかなか難しいものです。相手が話していることの背景がわからないと、つい質問したくなってしまうのですが、その気持ちを抑えてただ聴いていると自然と背景が見えてくる、というのもオブザーバーをしていてよくわかりました。訊いてしまう方が早いんですけど、それをせずに本人の口から出てきたときの方が、自然な流れがあるように思いました。

少し話はズレますが、私は月に何回か占いのお店で鑑定の仕事をしています。すると、相手の気持ちを見てほしいというご相談を受けることがよくあります。その場合はたいてい、タロットを使って、展開したカードからお答えしています。

ただ、相手がそれほど親しくない場合や片思いなどの場合は難しいでしょうが、パートナーや家族など、実際に親しく話せる間柄なら、相手の気持ちは相手に直接聞くのがベストかと思うのです。もちろん、親しい間柄でも聞きづらいことってありますよね。だからわざわざ占い師に訊きにきているんですよね。気持ちはわかります!占いで様子をうかがうのもアリだと思います。

でも、対話をすることで、相手が本当は何を考え、そして自分自身が本当は何を考えてくるのか見えてくるのではないかと。そうすることで、相手との関係がつくられていくからです。物事は常に変わり続けます。人の気持ちも。それをリアルにつかまえるのは、結局は対話しかないと思うのです。対話というのは相互作用。相手の話にていねいに耳を傾ければ、今まで気づいていなかった気持ちに相手が自分で気づくということもあるはず。残念ながら、占いじゃ、それはできませんから。