世界的に有名になった犬のホロスコープ

占星術

今年は忠犬ハチ公の生誕100周年だそうです。そして先日、3月8日はハチ公の命日。特にハチ公に思い入れがあるわけではないのですが、新聞記事を目にして知りました。そして、生年月日がわかっていることに注目したのです。ハチ公の物語は『ハチ公物語』という映画にもなり、そのリメイクであるハリウッド映画『HACHI 約束の犬』が公開されたことから、ハチは世界的に有名な犬に。それで、そんな犬のホロスコープってどんななのだろうと思って、出生図を作ってみたわけです。ちょっと専門的になりますが、占星術をよくご存じない方は、「占星術ってこんなこともわかるのね」と思っていただけたら嬉しいです。

これがハチの出生図(貼り付けるとなぜか画像がぼやけてしまう。原因がわかる方いましたら、教えてください)。生年月日は1923年11月10日、秋田生まれです。出生時間まではさすがにわかりません。

蠍座の太陽・水星、蟹座の冥王星、魚座の天王星で水のグランドトラインができています。私の師の一人である隈本先生によると、太陽・木星・冥王星・MCのいずれかのアスペクト(その他に、木星と天王星)は、ハードがソフトかを問わず、成功相だということですが、太陽と冥王星のトラインで成功相になっていますね。蠍座の太陽と蟹座の冥王星ということで、家族(主人)に対する深い愛着を表しているように思います。主人とは長年一緒にいたのかと思いきや、調べてみると、主人はハチを飼い始めて1年くらいで亡くなったそうです。それなのに、その後10年も駅前まで通い続けるというのは、やはり尋常じゃありません。ほかにも2匹の犬が飼われていて、ご主人の存命中は3匹で迎えに行っていたそうですけど、10年も通ったのはハチだけです。太陽とコンジャンクションの水星は、渋谷駅前までの「通勤」を表しているんでしょうか。

グランドトラインの残りの一つの天体、魚座の天王星って何を表しているんだろう、と思って調べてみたところ、『ハチ公: 生誕百周年記念』というkindle本を発見。この本によると、なんと、ハチには雷を予知する能力があったとか。雷の鳴る2時間前になると、急に家族に甘えだしたりとか、変わった行動を取り始めたのだそうです。「雷(天王星)を予知する霊感(魚座)」でしょうかね。それから、一緒に飼われている犬が他の犬から喧嘩を吹っ掛けられるとかばうなど、「弱い者を庇う、任侠の親分のような不思議な「人情」と義理堅さがあった」のだそう。上下関係に屈せず仲間を守る(天王星)思いやりの深さ(魚座)ですね。

大衆性を表す月は射手座。海外(射手座)で人気が出たことも納得。

そして、土星にはメジャーアスペクトはなく、心理占星術で言うところのノーアスペクト。強力に働くことがありますが、土星は主人や父親を表しますし、10年通い続けた粘り強さも表しているのかもしれません。地の天体がないというのも、欠けた要素を埋めるべく、逆に地の要素が「毎日コツコツ」という形で働いているようにも思えます。

さて、ハチの人生(犬生?)をソーラーアークとトランジットとの三重円で追いかけてみると、面白いことがわかりました。

ご主人である上野英三郎氏が亡くなったのは、1925年5月21日です。ハチの生後1年半ほどしか経っていないので、ソーラーアーク図を作成してもほとんど天体は動いていません。でも、出生図でオーブが2度強だった火星と冥王星のスクエアが、ソーラーアークで冥王星が少し動いてオーブが1度以内になっています。火星も冥王星も死に関連します。11月10日というハチの誕生日には諸説あるようで、ウィキペディアや新聞記事では10日となっていましたが、前述の本では「15日頃」となっていますし、20日という説もあるようです。ただ、15日や20日だと、火星・冥王星のオーブが少し広くなってしまうので、このソーラーアークでの2つの天体のぴったりのスクエアがご主人の死を表しているのだとしたら、10日説の方が、しっくりくるような気もします。まあ、もちろん、多少オーブがあっても効くことはあるでしょうし、出生時間が不明なので、ほかの天体が表しているのかもしれませんが。

銅像になったのが1934年。出生図の木星とソーラーアークの太陽がコンジャンクションになっています。出生図で太陽と冥王星がトラインなので、出生図の木星とソーラーアークの冥王星もトラインになります。見事な成功相。この年にはハチの物語は教科書にも載りました。

最初に映画化されたのは1987年。このときのソーラーアークでは、ピンとくるものはなかったのですが、出生時間がわかればまた違うのでしょう。

面白いのは、この映画がハリウッドでリメイクされた2009年。

出生図の太陽にソーラーアークの海王星がコンジャンクション。「映画(海王星)の主人公(太陽)」って、そのまんますぎて笑えます(笑)。

以前にも、ヒルマ・アウフ・クリントのホロスコープ解析をして思ったのですが、ホロスコープが死後もその人にまつわる出来事を表すというのはとても不思議です。それに、動物であっても、こんなふうに生涯が描かれているものなんですね。考えてみれば、犬は有名になろうなんて野心もないだろうし、目標に向かって努力をするなんてこともないわけです(いや、10年通い続けたのは立派な努力だけど)。なので、銅像や映画にまでなって、世界中から銅像を見に人がやってくるというのは、運以外の何ものでないのですよね。邪な気持ちがない分、人間よりも、出生図の要素がそのまんま素直に現れやすいんでしょうか。それともやはり、前世の功徳(サウスノード魚座だし)?

改めて、ホロスコープって人生の縮図だなとしみじみ思い、その奥深さにため息が出るのでした。