発達障害

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この頃またNHKで発達障害特集番組がいろいろ放映されています。
発達障害はだいぶ周知されるようになりましたが、テレビを観て自分にも発達障害があるのではないかと疑う人も増えているのでしょうね。

若くても発達障害の診断を受けることは大変ですが、年齢がある程度いってからだとなおさらです。自分が発達障害を抱えてきたのだとすると、今までの人生で起こった出来事の解釈が違ってくるからです。

私自身も、十数年前に34歳でアスペルガー症候群の診断を受けています。
(診断経緯はこちら)
自ら診断を求めて検査を受けに行ったので、ショックよりも、生きるのが大変なのは自分の努力不足ではなく、発達障害のせいなんだとわかって気が楽になった方が大きかったのですが、それでもそれですんなり、めでたしめでたし、ではなく心理的にもその後紆余曲折がありました。

それが、アイデンティティの問題だったのだとわかったのは、『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』という本を読んでから。この本は『壮年期のアスペルガー症候群』として翻訳しました。

ガイド 壮年期のアスペルガー症候群:大人になってからの診断は人生をどう変えるか

ガイド 壮年期のアスペルガー症候群:大人になってからの診断は人生をどう変えるか

 詳細な目次はAmazonのページには載ってませんので、こちらをご参考に。

この本では、診断前後の心理的な過程をアイデンティティの観点から考察して、
キューブラー・ロス・モデルを応用してアスペルガー症候群のある自分という新たなアイデンティティを受け入れる過程を説明しています。

エリザベス・キューブラー・ロスのモデルでは、死と臨終を受容する過程には五段階(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)があるとしています。

また、この本では、診断を受け入れるプロセスにはセルフ・アイデンティフィケーションとアイデンティティ・アラインメントがあると述べています。

セルフ・アイデンティフィケーションとは、自分に発達障害があることを知ること。

つまり、きっかけは何であれ、これまで普通だと思っていた自分に実は発達障害という生まれつきの問題があることを知り、自分の中の発達障害的な要素を自己認識することです。

それによって、自分は普通だというそれまでのアイデンティティが崩れ去り、「発達障害のある自分」という新しいアイデンティティを受け入れるプロセスが始まります。

アイデンティティ・アラインメントとは、新たなアイデンティティを受け入れ、アイデンティティを本当の自分と一致させること。

つまり、発達障害があるという事実に即したアイデンティティをもつこと。要は、発達障害がある自分を受け入れることです。

年齢が高くなるほど、「障害」というものに対して否定的なイメージをもっている場合が少なくありません。そうした人は障害者に対する自らの偏見の犠牲になっているとこの本では言っています。

障害があることは恥ずべきことだと思っていれば、自分に発達障害があると認めるのは難しくなります。しかも、それまで長年、何とか自力で人生を切り抜けてきたのだから、社会スキルもそこそこには習得している可能性もあるわけで、それを今さら生まれつきの問題がある、と言われても受け入れるのは簡単ではないでしょう。

思うに、それまで自分の問題を自覚していて劣等感を抱き、自分を責め続けてきた人の方がすんなりと受け入れられるのではないでしょうかね。逆に、自分の人生が上手くいかないことを他人や周りの環境にし、自分に非はないと思ってきた人ほど、自分に問題があることを認めたがらないような気がします。

そう考えると、自分に発達障害があるということを認めたがらないのは、「障害」という言葉がつくからということでは必ずしもないのかもしれません。「凸凹症候群」と言い換えたところで、そうした人は「凸凹があるのは人間当たり前だ」と言い張って自分の問題は認めたがらないでしょうから。

また、「障害」ということを受け入れても、自分の問題を認識せずに、いま流行りの発達障害というアイデンティティをさっさと受け入れて、私には障害があるから、と免罪符にして、自分は何もせずにただ周りに理解ばかりを求めるようになるケースもなきにしもあらずだろうと思います。

この本では、五段階モデルとは別に、四段階モデルとして、キューブラー・ロス・モデルを変形したものを紹介しています。
各段階は次の通り。

第一段階  ショックと否定

別の自己イメージについての考えを即座に拒絶するとき。

第二段階  怒りと抑うつ

無力さや絶望感を感じさせるような、自分でコントロールできない変化や不安定さに対してよく見られる反応。

第三段階  探求と洞察

変化が避けられないと理解した後、自分が選ぶことのできるあらゆる選択肢を見つめ、新しい自己アイデンティティとともに前に進む適切な方法を見極めることができるとき。

第四段階  変化と新たな環境を受け入れる決意

第一段階から第三段階までを経験した後、新たな自己を抱きしめて、人生をより良くするために積極的な策を講じることができるとき。

五段階モデルについては、後日、ひとつずつ、その段階を切り抜けるために役立つフラワーエッセンスと併せて紹介します。