発達障害と副腎疲労

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最近読んだ本に、「ASDの人ではホルモンの日内変動がはっきりしない傾向がある」という記述があり、通常見られる副腎皮質ホルモンのコルチゾールの朝の分泌増加が見られないと書いてありました。

調べてみると、ASDやADHDとコルチゾール分泌の関係について書かれた論文はいくつか出ているようで、ASDでもADHDでもHPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)の働きに異常が見られるそうです。論文はこちらこちらなど(抄録のみ)。前者の論文では、セロトニン代謝の調節障害により、HPA軸の負のフィードバック機構が障害されている可能性が指摘されています。

HPA軸とは、次のようなシステムです。ストレスを感じると、大脳辺縁系を通じて視床下部に刺激が届きます。すると、視床下部はコルチコロトピン放出ホルモンを分泌し、それによって脳下垂体が刺激されて副腎皮質刺激ホルモンが分泌されます。それによって副腎皮質が刺激されてコルチゾールを分泌します。つまり、絶え間なくストレスにさらされ続けているとコルチゾールが絶えず分泌されることになります。しまいにはコルチゾールが出なくなり、それが「副腎疲労」という状態です。

この副腎疲労という言葉を知ったのは分子栄養学の勉強を始めてからですが、最初の頃は、他人事のように思っていました。でも、かつての自分もきっとそうだったのだろうと最近は思っています。

副腎疲労では、朝起きられない、いつもだるい、など、うつ病や慢性疲労で見られるような症状が出ます。イライラしやすかったり、甘いものやしょっぱいものをやたらと食べたくなったりもします。

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慢性の炎症も副腎疲労の原因となります。コルチゾールは抗炎症ホルモンでもあるからです。発達障害者の腸内環境が悪いことは周知のことになりつつありますが、腸内に慢性炎症があればコルチゾールが浪費されます。ほかにも、歯周炎や上咽頭炎なども慢性炎症です。

コルチゾールにはほかに、抗アレルギー作用や血糖上昇作用もあるので、枯渇すれば、アレルギーや低血糖になりやすくなります。発達障害者の血糖調節異常の一因なのかもしれませんね。

副腎疲労になると、副腎で作られるほかのホルモンも作られなくなってきます。副腎皮質では、アルドステロンやDHEA(性ホルモンの前駆体)、副腎髄質では、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどです。アルドステロンが不足すると低血圧になりやすく、DHEAが不足すると、更年期症状が出やすくなります(女性の場合、卵巣が機能しなくなっても、DHEAがエストロゲンに変換されます)。アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンは重要な神経伝達物質です。コルチゾールは血糖値を上げるため、生命には欠かせないので、ホルモンの材料であるコレステロールは、ほかのホルモンより優先的にコルチゾールに回されます。なので、コルチゾールが不足していると、性ホルモンは後回しにされて月経不順やPMSが起こりやすくなるのです。発達障害のある女性にはこの手の問題が多いということも言われていますよね。副腎疲労の回復に必要なことは、発達障害の諸症状の改善のために必要なこととそう変わりはありません。

腸の慢性炎症をなくすために、できるだけグルテン・カゼインフリーにして、単糖・二糖類も控えること。腸内環境を荒らす添加物も要注意です。糖質は控えた方がいいけれども、極端な糖質制限は低血糖を悪化させます。コルチゾールが不足していて血糖値が上がらないのですから。なので、低血糖にならないように補食に工夫が必要です。

そして、なるべくがんばりすぎないようにしましょう。カフェインで無理やり血糖値を上げてアドレナリンで動こうとするなんてもってのほか。カフェインはコルチゾールのリサイクルを妨げます。

本もご参考に。