死後にもホロスコープが描き出すもの

占星術, 雑記

先日、『見えるもの、その先に』という映画を観てきました。ヒルマ・アフ・クリントという19世紀のスウェーデン人の画家についてのドキュメンタリーです。その絵に惹かれて、ほとんど予備知識なしに観に行きました。

裕福な家庭に育ち、正規の美術教育も受けているので、最初は肖像画などを描いて生計を立てていたようですが、あるときから実験的な作品を描くようになります。まだ抽象画なんてなかった時代で、まったく評価されなかったそうです。

今となっては抽象画は珍しくありませんが、彼女の絵からは、ほかの抽象画家の作品とは違う、なにか精神性の高さのようなものを感じます。スピリチュアル系の本の表紙にでも使われそう。

そうしたら、やっぱりヒルマは当時の神智学の影響を受けていたらしく、流行だった降霊会も行っていたとのこと。神秘主義に傾倒していく中でインスピレーションを受けて、抽象画を描き始めたのです。「この絵は私が描いたのではない」と言っていたのだとか。

ルドルフ・シュタイナーなら理解してくれるのではないかと思い、ヒルマはシュタイナーに絵を見せたものの、否定されたそうです。皮肉なことに、シュタイナーがほかの画家にヒルマの絵を見せたことから、抽象絵画が広まっていったとも考えられるようです。映画の中で、ヒルマの作品とほかの抽象画家たちの作品を並べて見せていましたが、パクリとしか思えない、あまりにも似すぎている作品がいくつもありました。

生涯独身を貫き、決して日の目を見ることはなく、美術史から葬り去られても描き続け、1000点を超える作品を残したヒルマ。

ホロスコープを見てみると、太陽は蠍座で水星と合。出生時間は不明なので12時で出していますが、月は射手座でノード軸と合と見て大丈夫でしょう。神秘思想への傾倒というのが強く出ていると思います。月の真向かいで天王星がサウスノードと合なので、時代を先取りした天才性は前世から受け継いだ才能なのかもしれません。その天王星は金星とトライン。まさに前衛芸術ですね。土星と海王星のオポジションは、海王星的なスピリチュアリティと世相(土星)が相いれないことを表しているようにも見えます。

気になるのは、太陽と水星の合に対する冥王星のオポジション。蠍座的な意味をさらに深めているとも言えるし、彼女の人生そのもの(太陽)が闇に葬られた(冥王星)というふうにも取れます。

ところが!なんと、この冥王星、ソーラーアーク法で追いかけてみると、すごいことがわかりました。

2018年の10月から2019年の4月にかけて、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で米国発の大規模な単独展が開かれています。このとき、ソーラーアークの冥王星は、出生図の金星(芸術)と木星(成功)のハーフサム(中間点)。冥王星には復活の意味もあります。この期間中、トランジットの木星が出生図の月・ノースノードを通過。

そして、これが現在の日付で出した三重円。

ソーラーアークの冥王星は出生図の金星と合。そして、出生図の海王星の上にソーラーアークの金星がのっています。出生図の海王星に対してソーラーアークの天王星・サウスノードがトライン、出生図の天王星はソーラーアークの太陽・水星にセクスタイルです。風の時代に入り、突然にして、ヒルマの神秘的な芸術が不死鳥のごとく蘇った。そんなふうに読めます。この映画が世界で公開されることで(製作は2019年)、ますます広く知られ、評価が高まるんじゃないでしょうか。

本人が死んだ後にも作品、いや、魂は生き続けていて、その道筋を星たちがしっかりと表していると考えると、ちょっと感動的です。

そういえば、この映画を観た日は、奇しくも166年ぶりに魚座で木星と海王星がぴったりとコンジャンクション。私の出生図ではその真向いに金星・冥王星の合があるので、とっても刺激になりました。

ぜひとも日本でも展覧会をやってほしいですよね。
それまでは、こちらの動画でヒルマの世界を少し味わえますよ。