誰にでも平等に与えられているもの

占星術

 

3月7日に土星が魚座に入ります。2025年の5月に一度牡羊座に入りますが、9月にはまた魚座に戻り、最終的に牡羊座に抜けていくのは2026年2月です。およそ3年ほど魚座にいることになります。

今水瓶座にいる土星が最初に入ったのは2020年3月。その後逆行を経て、完全に水瓶座に入ったのは2020年12月です。この頃にはコロナ禍が始まって、これまでには考えられなかった状況になりました。土星的な旧来の社会に水瓶座的な革新性が否応なく持ち込まれた時期です。新しいテクノロジーを駆使してオンライン会議などをせざるを得なくなりました。これまで当たり前だった縦社会が、在宅勤務が始まったことで、違った在り方があるんじゃないかと皆が気づき始めた。水瓶座的なSDGsや社会の少数派に焦点が当たり始めたのもここ2,3年のような気がします。この期間に、水瓶座の支配星である天王星が土星とスクエアになったことも、その変化を加速させました。新旧交代は当然すんなりとはいかず、古いやり方にしがみつきたい人たちと新しい社会を望む人たちとの綱引き状態はまだ続いています。でも、そのうちコロナ禍以前に戻るだろうと思っていたのが、気づいてみれば、定着しつつある変化もあるのです。

さて、土星が魚座に入るとどうなるでしょうか。土星は現実的な厳しい天体で、魚座の表すものはスピリチュアリティであり、スピリチュアルで言うところの「ワンネス」、個を超えた全体性です。現実を踏まえた、地に足の着いたスピリチュアリティがこれからは大切ではないかと。

土星は伝統的占星術ではマレフィック(凶星)と言われます。現代占星術では必ずしも土星は悪いもの、という解釈はしません。土星には良い面として、現実性や粘り強さなどもあるからです。コツコツと真面目にやっている分には、土星は味方になってくれます。けれども、それを怠ると、社会で痛い目に遭うこともあります。土星は「悪い」のではなく、「厳しい」のです。

魚座は現実逃避も表すので、そうした土星的な厳しさに耐えられなければ、お酒などに依存したり、もっとひどければ、裏をかこうと犯罪に手を染めたり、といったことも増えるのかもしれません。癒しを求める傾向が強くなり、スピリチュアルに逃げる人もいるでしょう。土星と魚座の組み合わせだと、うつっぽくなることも考えられます。

魚座は慈悲や思いやりも表します。土星は野心も表しますが、社会でガツガツやるだけではなく、もっと全体のことを考えながら社会の中で生きるということ、他人の問題を自分の問題として考えることがもっと大切になるでしょう。

また、慈悲心や思いやりの気持ちを育むためにスピリチュアルを勉強するのもいいと思いますが、やはり社会という泥臭いところにいながらスピリチュアリティを育むことが大切ではないかと。自分も痛い思いをして初めて人の痛みもわかるものです。温室の中にいたのでは、雨風にさらされる大変さはわかりません。スピリチュアリティはそういった集まりの中だけにあるわけではなく、そこらへんにあるべきものです。

土星と魚座の建設的な表現方法としては、時間をかけて精神性を高めるということです。毎日ちょっとずつ時間をとって、瞑想やヨガなどをやってみるのもいいでしょう。社会でボランティアをしてみるのもお勧め。魚座の表す精神性を土星で成熟させるのです。

土星の表す「時間」は、24時間誰にでも平等に与えられています。生まれついた境遇や容姿や富など、不公平だと思うことはあるかもしれません。でも、1日に与えられている時間は誰でも同じく24時間。これをどう使うかは自分次第。使い方で人生は変わってきます。寿命は人によって違うけれど、その質は24時間の使い方にかかっているのです。土星先生は厳しいようでいて、案外平等なのかもしれませんよ。

土星が牡羊座に最初に入る2025年5月、魚座の支配星である海王星も牡羊座の1度にあり、ほぼコンジャンクション。魚座の土星の時期に培ったものを基に、新しいスタートが切れそうですね。