冥王星による破壊と再生

占星術

今月から冥王星についての研究会に参加し始めたこともあって、冥王星について考えることが多くなりました。

今年の3月にトランジットの冥王星が山羊座から水瓶座に入り、現在は逆行中で、6月にまた山羊座に戻ります。冥王星は進行が遅いので、しばらくは山羊座と水瓶座を行ったり来たりし、最終的に水瓶座に入るのは来年の11月です。

ここ連日にわたって報道されているのが芸能界でのパワハラ・セクハラ問題。縦社会での上の立場にいる人間(山羊座)によるパワハラ・セクハラ(冥王星)。おそらく相当長く行われてきたであろうことが今になってようやく明るみに出た、という感じですが、冥王星のサイン移動に大きく関連していると思います。同じようなトラウマ(冥王星)を仲間たちに負わせないために、あるいは未来の世代のことを想って(水瓶座)、あえてカミングアウトする。冥王星はまた山羊座に戻るので、再び上からの圧力でもみ消される可能性もありますが、最終的に冥王星は水瓶座に入ります。事実を公にしてくれた方たちの勇気が決して無駄にならないように世の中の仕組み自体を変えていかなければなりません。破壊と再生の星、冥王星だから、一度壊して、新しく作り直すのです。今はそのための、膿を出す期間なのかも。

私は出生図で冥王星が効いている配置なので、冥王星に強力に反応します。過去を振り返っても、ソーラーアークやトランジットの天王星が出生図の天体に強力なアスペクトを取った時期を境に、大きく人生が変わりました。冥王星って容赦ない、とも思う。それまでやってきたことを強制的に終了させられるような感じ。まるで野焼きのよう。でも、まっさらになったその後には、不思議と新しいものが芽吹いてくるんです。ダメージを受けた後に、元に戻るのではなくて、違ったものに生まれ変わる、そんな感じです。

冥王星的な出来事によって受けた傷は、海王星的な癒しでは癒されません。「その気持ちわかるよ」と共感を示されても、「わかるなんて、そんな簡単に言ってほしくない!」と心の中で思ってしまうような類のものです。それでも、自分で深いところに降りて行って、その傷をあらためて見つめ直して、それを誰かに話してシェアすることができれば、傷は癒えていく。そして、相手の傷も共有することで、自分以外の生けるものに対するコンパッションを感じられるようになるのです。海王星的な癒しで癒されなかったものが、冥王星的に深く掘り下げることによって癒され、海王星的な意識が芽生えるという不思議。

Planets in Therapy』という本には、海王星と冥王星について、次のことが書いてあります。

海王星は私たちに完全さを垣間見せてくれ、ビジョンや高い理想を呼び起こすが、パーソナリティの大部分は見ることができず、未完成のままになる。冥王星は、海王星の現実から目を背ける傾向を打ち消し、私たちが最高の可能性を手に入れるのを妨げている内なるものを見せてくれる。冥王星は、仏教で三毒と呼ばれる貪欲、嫌悪、迷妄を暴く。三毒は、海王星が象徴する平穏、ビジョン、心の広さ、穏やかさ、万物への思いやりといった、私たちが本来もつ明晰さや寛大さ、つまり生来の仏性などを覆い隠す。冥王星は内的な再編成を行うエネルギーだ。また、「固執」を司り、意識がどこに固執しているのかを示し、私たちが自由になれるようにする。権力、富、欲望の対象への執着を明らかにし、独占欲の強い嫉妬を呼び起こすこともある。冥王星は、こうしたものを意識の明るみの中に引き入れることによって、私たちの人格を磨き、向上させるのだ。

社会的にはしばらく冥王星によって隠れていたものが明るみに出ることが続くのかもしれません。でも、一時的に混乱が生じたとしても、それによって磨かれ、社会は向上するはずです。