言葉に表現すると体験は変わる

からだ, こころ, 占星術

昨日は池見陽先生のフォーカシングのセミナーでした。去年に続き、2回目。月1回、5ヵ月のオンラインセミナーです。池見先生のフォーカシングのスタイルはとても緩やかでクリエイティブ。本を何冊か読んで、ずっと習ってみたいと思っていたので、去年念願がかない、その奥深さと面白さに惹かれて、今年も受けることにしました。朝から夕方までの長時間の講座なので、カウンセリングの基礎的なことやフォーカシングの哲学背景についてもていねいな説明があります。

フォーカシングって、そもそもどういうものかというと、何かについて、からだに感じられる感じ(これをフェルトセンスと言います)を言葉にしていく作業です。ひとりでもできるし、聴き手とやり取りしながら行うこともできます。扱うのは、「怒り」や「悲しみ」などの感情ではなく、もっと微細な感覚。「なんかモヤモヤした感じ」とか、よくありますよね。必ずしも物理的な身体で具体的に感じられる感覚でなくてもかまいません。それに焦点を合わせて、それを言い表す言葉を探します。思い浮かんだ言葉がしっくりくるかどうか、その言葉とからだで感じられるフェルトセンスを実際に照らし合わせ、ピッタリな言葉を見つけ、そのフェルトセンスと対話していく、というものです。

昨日のお話で興味深かったのは、言葉にすることによって体験が変わる、ということです。漢字一字で表す漢字フォーカシングというものの紹介があったのですが、これは私にとってとてもタイムリーでした。

その数日前にとあるグループコーチングを受ける機会があったのですが、その中で「今年一年がどんな年だったかを漢字一字で表すと何か?」というお題があったからです。そのとき私が今年を振り返って最初に思ったのは「なんかパッとしない年だな」ということ。特にこれと言って大きな出来事もなく、淡々と毎日が過ぎていたので。

じゃあ、漢字一字で表すと何だろう、と考えてみたら、浮かんできたのは「深」という漢字でした。改めてその漢字と、今年一年の体験を突き合わせてみると、しっくりきます。「深」という文字を思い浮かべながら2022年のこれまでを振り返ってみると、確かにずいぶんいろんなことを考えた年だな、と思ったのです。外面的には大した出来事がなかったので、「パッとしない」つまらない年のような気がしていたのだけれど、その一面、内面は深まって充実しているんですよね。夏に始まった、月に1度の心理占星術のグループワークも自分を深めるきっかけになりました。ちなみに、占星学的には、ソーラーアークやトランジットで海王星や冥王星が効いています。

なるほど、言葉にすることで、2022年という年の体験がネガティブなものからポジティブなものへと変わってしまったのでした。そんなふうに、感じているものを言葉にして、その言葉とその感じを突き合わせ、「なんか違うなー」と思ったら、もっとしっくりくる言葉を探し当てる、ということを繰り返していくと、感じていたはずのものが、スルッと変わることがあるのです。それが「フェルトシフト」。

選んだ漢字を辞書で引いてみると、なんとなく選んだはずなのに、ずばりその状態を言い当てているような意味が書かれていたりすることもあるそうです。「こわい」に「怖」と「恐」のどちらを選ぶかによっても意味合いが変わってくるとか。

考えてみると、こんなふうに文章を書くときにも、漢字にするかひらがなにするかなど、しっくりくるものを選んでいるわけで、日常的に自然とフォーカシングをやっているのだと思います。翻訳なんて、フォーカシングせずにはできません。この訳語にはこっちの言葉の方がしっくりくる、とか、なんか気持ち悪いムズムズする訳になってしまったとか、私はしょっちゅう、からだの感じと突き合わせています。それでも、漢字というのは漢字圏の人間ならではのもの。中国人相手に漢字フォーカシングをやるとものすごく盛り上がるのだそうです。ほかにも、「観我フォーカシング」とか、東洋的な視点からアレンジされたものがいろいろあるのが池見先生のフォーカシングの面白さです。

さて、あなたの2022年を漢字一字で表すと?