血糖値の急な上下が心に影響を及ぼす

からだ, 分子栄養学

機能性低血糖症っていうものがあるのを聞いたことがあるでしょうか。

低血糖というと、一般的には糖尿病薬の効き過ぎでなるものと考えられていますが、血糖調節能力に問題があることから低血糖になる場合があります。それが機能性低血糖症と呼ばれるものです。

オーソモレキュラー(分子整合栄養医学)では、うつ病やパニック障害も低血糖が原因であることが多いと言われています。

実はこれ、発達障害とも関係があるらしいんです。『発達障害の治療の試み』という本には、「発達障害者は多くの場合に血糖調節能力に 異常があることを確認している」と書かれています。

私も自分が低血糖になりやすいということは昔から自覚していました。
お腹が空いてくると、手の震えがくるほどだったからです。それで、とにかく糖質を欠かさずに摂って、血糖が下がらないようにしないといけないと考えていました。一時期はブドウ糖の飴を持ち歩いていたほどです。

私は十数年前に発達障害の診断を受けているのですが、3年前に発達障害と低血糖の関連を知り、糖質制限が有効だという情報を得て試してみたところ、驚くほど情緒は安定し、頭のモヤも減って頭が働くようになりました。糖質制限だけではなく、栄養療法も実践し、3年経った結果、自分の身体・精神状態が大きく変わり(人生も)、糖質制限と栄養療法の効果を確信したのです。

さて、疑問に思う人がいるかと思います。
なんで低血糖なのに糖質を減らすの?ますます下がるじゃん?って。
私も最初、不思議に思いました。
でもこういうことだそうです。  

糖質を大量に摂ると、一気に血糖値が上がるので大量のインスリンが分泌され、その結果、短時間で血糖値が一気に下がって低血糖になるのだそうです。

低血糖になりやすい人ではインスリンの分泌が若干遅れ気味になるために血糖値がガーっと上がって、その大きく上昇した血糖値を下げるために、少し遅れて大量のインスリンが分泌されるという話もあります。  

これを反応性低血糖というのですが、こうして一気に血糖値が下がった後に、身体がアドレナリンなどの血糖を上昇させるホルモンを分泌してまた一気に血糖値が上昇し、それに対してまたインスリンが分泌されてまた血糖値が急降下するということがあります。これを乱高下型低血糖といいます。急にイライラしたかと思えば一気にやる気がなくなったりして、気分も血糖曲線のようにジェットコースター状態になります。

さらに、今度は糖質を摂ってもほとんど血糖値が上がらなくなり、
ずっと低血糖の状態が続く無反応性低血糖というものがあります。
こうなると、四六時中、やる気がなくてうつっぽい状態が続くわけです。  

低血糖を防ぐためには、急激に血糖値が上がらないような食べ方を
することが必要です。それが糖質制限食というわけです。  

糖質制限といってもただ糖質を減らせばいいというわけではなく、
その代わりのエネルギー源となるタンパク質や脂質を増やさないと、
かえって低血糖になってしまいます。  

また、糖質というのは外から摂らなくても体内で糖新生ということを行って作ることができるのですが、それにはビタミンB群などの各種栄養素も補酵素として必要です。

お酒の飲み過ぎで肝臓が疲れていれば、糖新生も上手く行われないでしょう。もちろん、胃腸が悪ければ栄養が十分に吸収されないので低血糖になりやすくなります。  

筋肉量も大切で、筋肉は動かしていなくても糖質を摂り込んでくれるので、筋肉が少なければ、血糖値は上がりやすくなります。

低血糖にはブドウ糖のラムネがよいというのは医学的観点からも言われているようですが、一時的に本当に倒れそうになった場合の緊急事態の対応としては正しいと思うのだけれど、機能性低血糖の人が低血糖防止のために、かつての私のようにブドウ糖のラムネをしょっちゅう食べると、かえって低血糖を悪化させることになります。

低血糖になる前(つまり、お腹が空きすぎる前)に、ナッツ類やチーズ(遅発型アレルギーに注意)、ココナツオイルなど、血糖値が緩やかに上がるもの(糖質でないもの)を食べることが必要です。ちなみに、糖質=甘いもの、と勘違いしている人もいますが、おせんべいは甘くありませんが糖質なので、1枚でもかなり血糖値は上がります。

ざっと書きましたが、ひと口に低血糖症対策といっても多岐に渡ります。面倒くさいといえば面倒くさいのですが、この対策をするかしないかで天国と地獄ほど変わってくるので発達障害傾向のある人はあんまり軽視しない方がいいかと思います。私は空腹時に砂糖不使用の野菜ジュースを飲んだだけで血糖値が85 mg/dLから一気に138 mg/dLまで上がったので、発達障害児に清涼飲料水なんか飲ませたらどうなることか。学校行く気力がなくなるのも無理ありませんよね。

この急激な血糖値の上下は最近は「血糖値スパイク」として
NHKでも取り上げられていますが、まだまだ精神状態との関連については大きく取り上げられていません。
実は、発達障害者じゃなくても、誰でも起こり得るものなんですよね。

70 mg/dL以上の急上昇が血糖値スパイクだそうですが、麺類を食べて血糖値を測定したら、100 mg/dL近く上昇してしまいました。ほぼ糖質のみで、一気にお腹に入っていきますからね。

参考までに、『発達障害の治療の試み』という本では血糖値の変化に伴う身体的症状として、次のように書かれています。
 
70 mg/dL以下・・・感情的になる、鈍感になる

60 mg/dL以下・・・空腹感、吐き気、計算力・注意力低下

50 mg/dL以下・・・頻脈、冷や汗、顔面蒼白、倦怠感、頭痛、寡黙

40 mg/dL以下・・・血圧上昇、上腹部痛、手の震え、あくび、複視、異常行動、見当識障害、8時間続くと植物状態となる

30 mg/dL以下・・・傾眠

20 mg/dL以下・・・痙攣、深い昏睡、不可逆的機能障害

最近では安価な自己血糖測定器も入手できる(こちらのサイト)ので、上記の症状に心当たりがある人は、実際に血糖値を測ってみるといいですよ。(私の測定レポートはこちら

気になる方は『「血糖値スパイク」が心の不調を引き起こす』という本もぜひ読んでみてください。